コインワールド

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Quantstampはイーサリアム上のスマートコントラクトのセキュリティ問題解決を目指すプロトコル

主要なICO関連ファンドが出資しているブロックチェーンスタートアップについてのまとめも行なっています。

前回、Streamに関して書きましたが、今回はQuantstampについてです。こちらもサンフランシスコベースのスタートアップで、イーサリアムベースのスマートコントラクトのセキュリティ問題に取り組んでいます。Yコンビネーターの来年度バッチの参加がすでに認められているとのこと。

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quantstamp.com

課題

ブロックチェーンネットワーク自体の構造は堅牢でセキュアなものですが、スマートコントラクトはハッキングの心配がないわけではありません。2016年6月には、ハッカーがThe DAOのスマートコントラクトのバグをつくことで当時の価値で$55M(約60億円)相当のイーサリアムを盗もうとするなど、被害の例はすでにいくつか出てきています。
現状できることは、セキュリティコンサル会社などを利用することですが、人的エラーが起こりやすく、非常に高いコストがかかります。
昨今のICOブームで、2017年6月から10月までの期間で、スマートコントラクトの件数自体50万件から200万件に増えたことで、コンサル会社等はスケーラブルなソリューションではありません。

今後ICOがどんどん普及するにつれて、セキュリティ問題は大きなリスクとなり、セキュリティ検証への需要は非常に大きくなると考えられます。ICOを行う企業は、これらハッキングへの対策をしっかり行わないと投資家の信頼を得ずらくなっていくでしょう。

 

ソリューション: Quantstampとは?

そこでQuantstampは、プイーサリアムネットワーク上の全てのスマートコントラクトをコストパフォーマンス高く検証するプロトコルを作ることによってこの課題を解決しようとしています。
そしてQSPという独自トークンを発行し、トークンエコノミー原理に則ったネットワーク上で、参加者のアクティビティによってスケーラブルにセキュリティ検証を成り立たそうというプロジェクト。

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Quantstampネットワークの参加者の種類は以下のように分類されるとのこと
・コントリビューター:問題を検証するためのソフトウェアを提供し、その見返りとしてQSPトークンを受け取る
・検証者(Validators):Quantstamp検証ノードを走らせるためのハッシュパワーを提供し、QSPトークンを受け取る
・バグファインダー:スマートコントラクトを破壊する可能性のあるバグを報告し、QSPトークンを受け取る
コントラクト生成者:自分たちのスマートコントラクトを検証するためにQSPトークンを支払う
コントラクトユーザー:セキュリティ検証後のスマートコントラクトにアクセスする一般ユーザー

チーム

・ファウンダー/CEO:Richard Ma

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コーネル大学コンピュータサイエンス学部在学中から、複数の投資クラブに在籍し、トレーディングアルゴリズムなどの開発を行う。
Quantstamp創業以前は、Tower Research Capitalのシニアクオンツアナリストとして、HFT(高頻度取引)を用いたアルゴリズムトレーディングに従事。
 

・ファウンダー/CTO:Steven Stewart

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ウォータルー大学大学院にてソフトウェア検証ツールのパフォーマンスと分散型コンピューティングGPUによるソリューションの研究を行う。以前は、サンフランシスコベースでGPUによる機械学習ビッグデータ分析を行うスタートアップを共同創業していた。

トークンセールの結果

Quantstampのトークンセールへの応募は少し変わった形で行われ、出資を希望する人は"Proof-of-caring"という、なぜQuantstampへ投資したいのか、どのように貢献できるのか、を提出する必要がありました。ICOする側が投資家を選ぶというのは健全でいいなと思いました。

ICOは2017年11月15-22日の1週間で行われ、合計87,000ETH、現在の価値で約60億円以上を集める成功例となりました。

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