コインワールド

世界の暗号通貨/ブロックチェーンスタートアップ情報を発信

日本人ファウンダーのスタートアップが生み出したOmiseGOは金融機関から人々を解放する

コインワールドでは、世界のICOスタートアップや仮想通貨・ブロックチェーン関連の情報を発信しています。
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日本ではまだまだ馴染みが薄いICO(イニシャルコインオファリング)。

市場黎明期ということもありICOの詐欺的な事例ばかりが取り沙汰される傾向があるように思いますが、真に大きな志があり世界を変えうるサービスを提供しようとしているチームも多くあります。

コインワールドでは、そんなICOスタートアップに関して、単なる投機的な情報ではなく、それぞれのビジョンやチームに迫った情報をお届けしていければと思います!

初回はOmiseGO(オミセゴー)です。レッツゴー。 

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日本でも話題になったのでご存知の方も多いかと思います。

今年行われたICOでは、ハードキャップに達し合計2500万ドルを調達しました。

2017年12月10日現在は下げトレンドですが、1 OmiseGO(OMG) = $8.07で取引され、時価総額は$823.2Mと約1000億円近くと全仮想通貨の中では世界で21番目、トークンのみに限ると4番目に大きい規模となっています。f:id:coinworld:20171210153148p:plain

 

Unbank the Banked with Ethereum

ホワイトペーパーなど、細かな内容は公式に日本語でも出ていますし、その他多くの記事が出ているので省きます。

スローガンとしては「Unbank the Banked with Ethereum」(イーサリアムで銀行口座を持つ人々を解放する)と、金融機関の仕組みを根本から変えようとしていることがわかります。銀行口座を持つ人までも解放するということは、"Unbanked"と呼ばれる新興国なので銀行口座を持たない(あるいは持てない)人々ももちろん含んでイノベーションを起こしていこうということでしょう。

壮大なビジョンですが、単純に既存の銀行に競合するものを作ろうというスタンスではなく、既存の銀行や企業のシステム/エコシステムに組み込める形でOmiseGOを開発していくとしています。

実際にICO後、タイではマクドナルドと提携をおこなったり、Krungsri Bank(アユタヤ銀行)と戦略的資本提携を行うなど、絵空事ではなくかなり実現性のある形で進めていると言えるのではないでしょうか。

 

OmiseGOは実際にどんなプロダクトなのか?

OmiseGOはすでにマーケットで取引されるトークンなのでそれ自体の価値の上下に注目している人も多いかもしれないですが、 OmiseGOチームの目的はそれが利用できるプロダクトを開発し、成功させることです。

これまで中央集権的な金融機関や決済ゲートウェイ、さらに通貨ごとに分断されてしまっていた価値を、OmiseGOという分散型Eウォレットプラットフォームを通して、法定通貨はもちろんETHやBTCといったデジタル通貨も利用できるトラストレスな決済や送金等の金融取引を実現していこうとしています。まだ銀行口座も持たない人も多い、東南アジアをはじめとする新興国でオンライン決済サービスを行なっていたOmiseだからこそ発見できた課題とソリューションですね。

f:id:coinworld:20171210170501p:plain実際のウォレットイメージ

OmiseGO単体で新規プラットフォームを作るということではなく、SDKの形で提供していくということなので、既存の銀行などへホワイトレーベルでOmiseGOのシステムを提供し、それぞれが独自のブランドでユーザーにEウォレットを提供し、裏側はOmiseGOが動いているというようなイメージかと思います。

すでに数百万数千万という顧客を抱える金融機関を差し置いて新規でプラットフォームを成功させるというのは非常に難易度の高い時間がかかることなので、この方向性はより現実的と言えます。

さらに、ホワイトレーベルで提供したウォレット間はシームレスに連携ができるようにすることで、以下のような各社が提供するリワードプログラムなども、ユーザーは一つのウォレットで全てを管理できるような世界観を目指しています。

ポイントカードを何枚も持たないで済むということですね。

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OmiseGOの発行元はアジア全域でオンライン決済プラットフォームを提供するOmise

OmiseGOは、もともとシンガポール・タイで2013年に創業され、アジアでオンライン決済プラットフォームを提供するスタートアップOmiseが発行元になっています。

ECサイトやアプリなどユーザーから決済を受け取る必要があるところに、簡単にクレジット決済が実現できるツールを提供し、数%の手数料を受け取るビジネスで、これ自体はグローバルでStripeやPaypalといったプレイヤーがすでに大成功をおさめているモデルです。

OmiseはICOで調達を行なった2500万ドル以前に、ベンチャーキャピタルらから20億円超(2000万ドル)の資金調達を行なっており、スタートアップとしても着実に成長を遂げてきていると言えます。

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代表的な投資家は、SBI、三井住友銀行、タイ通信大手のTrue, インドネシア財閥グループのシナルマス、USから世界でスタートアップ投資を行う500 Startups、mixiの共同創業者らが立ち上げメルカリやインドネシア最大のECサイトTokopedia等への初期投資で知られる日本/東南アジア最高峰VCのEast Ventures、同じく東南アジアで有名なVCであるGolden Gate Venturesなど、まさに豪華な株主チームです。

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Deal Street Asiaより

代表の長谷川潤氏は、高校卒業後単身渡米し、2009年には「LIFEmee」というスタートアップを立ち上げ、自身もエンジニアのバックグラウンドがある人物。共同創業者COOのEzra Don Harinsut氏は長谷川氏の親友で広告会社等で共に働いていたようです。

OmiseとEthereumとの関連

Omiseは2015年ごろからEthereumに注目し、イーサリアムベースのアプリケーション開発を支援するDEVgrantsイニシアチブへの支援や、Raiden開発への資金支援も行うなど深い関連があります。

こういった流れもあり、イーサリアム開発者Vitalik Buterin氏の数少ない(正式アドバイザー就任しているのはOmiseGOとKyber Networkのみ)支援先にもなっているのかと思います。

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直近の動き 

さらに直近では、日本のVCであるグローバルブレインが12月9日発表したブロックチェーン投資ファンドのパートナーとして、世界各国のイーサリアムブロックチェーンを活用したスタートアップやプロジェクトへの出資を行なっていくことを発表しました。運用額は数百億円規模になる見込みです。また、来年より渋谷にコワーキングスペースを開設しコミュニティ醸成も行うなど、自分たちだけでなく本格的にエコシステムを作っていこうという動きが見えます。

OmiseGO公式

www.youtube.com

omisego.network

twitter.com

 

今回は、ICOを行なった会社の例として、Omise(オミセ)を紹介しました。

まだまだ黎明期ということもあり、中身がないまま資金調達を行うICOの詐欺的な事例ばかりが取り沙汰される傾向があるように思いますが、真に大きな志があり世界を変えうるサービスを提供しようとしているチームも多くあります。

これからもコインワールドでは、そういった世界を変えうるICOスタートアップの紹介をしていきたいと思います。