コインワールド

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AngelListらがローンチしたCoinListとSAFTは、米国でのトークンセールをより安全なものにする

ICO関連について調べていると、特にUS企業のホワイトペーパーで"SAFT"というのをよく目にします。

これは"Simple Agreement for Future Tokens"の略で、トークン投資に関するシンプルな投資契約スキームとのこと。非常に面白いと思ったので簡単にまとめてみたいと思います。

 このSAFTというスキーム自体は、AngelListと、Filecoinなど分散型ネットワークストレージを構築するProtocol Labsが共同で立ち上げた、「CoinList」が公開しています。

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https://coinlist.co/

CoinListは、ICOスタートアップのための資金調達プラットフォームです。
サイト上では、CoinListが支援するトークンセール中のスタートアップ情報が閲覧でき、CoinList上から投資ができるようになっています。

 

今現在行われているYouNowが発行するトークンPROPSへの投資ページはこういう感じ。

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CoinListの最初の案件としては、Protocol LabsがローンチしたFilecoinが最初の案件として掲載され、今年9月に$200M以上を2100名以上の投資家から調達しています。

 

そして、CoinList上での投資に使われているのが、SAFT(Simple Agreement for Future Tokens)です。

スタートアップ界隈的には、YCが基本投資スキームとして用いたことで有名な"SAFE (Simple Agreement for Future Equity)"が馴染み深いですが、そのトークン版。

SAFEは、コンバーチブルノートのように社債発行せずに、株式と交換で資金調達が行えるものでした。

SAFEについてはこちらを参照

chikawatanabe.com

 

アメリカでは、有価証券に関して非常に厳しい規制があり、未認可の証券を販売したとみなされると、多額の罰金や罰則があります。

SAFTは、証券としてトークンを発行せずに資金調達が行える、米国SECに準拠しつつも簡略化された手順でトークンセールを実現するためのフレームワークです。

 

個人がCoinList上でSAFTに則って投資を行うには、米国証券法における適格投資家の基準である

・直近2年間の収入が$200Kを超えているか、総資産が$1Mを超えていること

が必要で、AngelListが適格投資家承認業務を行います。

CoinListに掲載するICO案件は、CoinList側が精査するとのことで、ある種、証券取引所のようなフィルタリング機関を目指しているのでしょうか。

また、COMPLYAPIという名前で、資金調達企業側にCoinListで提供している法令遵守のサービス群のホワイトレーベルでの提供も始めているようです。

特にアメリカではICOに関するSEC側からの監視が強くなってきているので、US企業ですでにプロダクトがありユーザーもいるような大きめのプロジェクトは、CoinListのようなところでトークンセールを行う流れになっていく気がします。ポジティブなシグナリング効果も得られるし、コンプライアンスも維持できるので。

一方、世界中から少額でも多数からの投資を集めることができるというICOの利点を生かすのであれば、スイスやエストニアに拠点を置き、より自由な形で行えばいいという見方もあるでしょう。ただその場合でも米国内の投資家に販売したとみなされた場合、海外企業でも米国から訴追される可能性があります。

よくあるICOへの投資時に、「米国国民ではありません」というチェックボックスがあるのはこのためなんでしょうね。

 

www.forbes.com

medium.com